ライカが自社専用センサーの開発に再び本腰を入れるというニュースが発表された。ディープなライカユーザーの私にとって非常に興味深い。この自社開発のセンサーがライカM12に搭載する予定とのことで、とてもワクワクしている。現在、ライカの多くのモデル(M11やSL2など)はソニー製センサーをベースにしている(との噂)、今回の提携により「ライカ専用設計(Bespoke)」のセンサーが復活する。
Gpixel(ジピクセル)について、深掘りしてみる。
この提携がライカにとって「単なるサプライヤーの変更」ではなく、「ライカ・アイデンティティの奪還」と言われる理由は、Gpixelという企業の成り立ちと技術的背景にあるようです。
「伝説のエンジニア集団」との再会
Gpixel(ジピクセル)を語る上で欠かせないのが、ベルギーのアントワープ拠点(Gpixel NV)です。
CMOSISのDNA
かつて「ライカ M240」や「M10」のセンサーを開発した伝説的メーカー「CMOSIS(シーモシス)」の創業者や主要幹部(Jan Bogaerts氏ら)が、現在のGpixel(ジピクセル)欧州拠点の中心メンバーとなっています。
ライカMデジタルを所有している方でしたら、このM240とM10の写りを評価している人が多いのではないでしょうか?
「人」で選ぶライカ
ライカのカウフマン会長が「ウェッツラー、アントワープ、長春のエンジニアリングの融合」と述べた際のアントワープとは、まさにこの旧CMOSISのベテラン設計者たちを指しているようで、自分たちの描写哲学を理解している「個々の設計者」との繋がりを重視したと考えられます。
産業・科学用センサーとしての高性能
Gpixel(ジピクセル)一般的なコンシューマー向けではなく、以下の分野で世界トップクラスのシェアを持っています。
- 科学研究・医療: 1億5,000万画素を超える超高解像度や、天体観測に使われる極低ノイズ技術(GSENSEシリーズ)。
- グローバルシャッター: 動体歪みを一切排除する技術に長けており、これは将来的にメカニカルシャッターレスのM型機(M12など)を実現するための布石とも噂されています。
- 裏面照射型(BSI)と3D積層: 最新の半導体プロセスを駆使し、低照度での画質を劇的に向上させる技術を持っています。
「ライカ専用設計」がもたらす具体的メリット
汎用センサー(ソニー製など)を使用する場合、カメラメーカーはセンサーの仕様に合わせてレンズや画像処理を設計する必要があります。
しかし、今回の提携による「Bespoke(ビスポーク/注文仕立て)」センサーでは、逆のアプローチが可能になります。
周辺光量の最適化
ライカの広角レンズ(HologonやSummilux 21mmなど)は、センサーへの光の入射角が非常に鋭角になります。Gpixelとの共同開発なら、マイクロレンズの配置をライカレンズの光学特性に合わせて「専用設計」でき、周辺画質の劣化や色被りを根本から解決できます。

DGSM(モノクロプリント)への親和性
物理的なプリントプロセスを重視するユーザーにとって、センサー段階でのノイズ感の調整や階調表現が、ライカ独自のアルゴリズムに最適化されることは大きな利点となり、私のようにクロスプロセスで暗室で現像している人にとってもメリットとなりそうです。
ライカは「量産品の最高峰(ソニー製)」を卒業し「自分たちのレンズのためだけに作られた一点物(Gpixel製)のオーダメイドのセンサー」に戻ろうとしているように見えます。これは、かつて「M9」がKodak製CCDセンサーで唯一無二の描写を実現していた頃のような、強いこだわりへの回帰とも感じられます。
また、機械式腕時計のロレックスがマニファクチュールとして自社製のムーブメントに舵を切ったのにも似ています。
ライカのレンズポテンシャルを最大限に引き出すための「専用の心臓部」を手に入れる。このニュースは、特にオールドレンズやライカ特有の空気感を大切にする方にとって、非常にポジティブな変化と言えるのではないでしょうか。
Gpixel(ジピクセル)は旧CMOSISと同じベルギーのアントワープに開発拠点を持っており、かつて「ライカらしい描写」を作り上げた設計者たちが再びライカのセンサーを手掛けることになります。
業界では、2027年頃の登場が噂される「ライカ M12」にこの新センサーが初搭載される可能性が高いと見られています。
脱・汎用センサーの動き
カメラ市場全体がソニー製センサーに依存する中で、あえて独自の道を歩む姿勢は、ライカが銀塩時代から大切にしてきた「独自の描写の美学」を取り戻そうとする強い意志の表れかもしれません。
いづれにしても、2027年のライカは私たちをワクワクさせてくれそうな予感がします。
