以前角川映画のCMに「読んでから見るか、見てから読むか」というコピーがあったが、本を読むと様々な妄想がある。主人公やその恋人、駅のロケーションや差し込む柔らかな日差し、沈む夕日など自分で果てしなく想像するのは楽しい。監督がそれをどう描くかもまた楽しみだ。

「見てから読む」と、自分では絶対想像できないロケーションや場所を知り感動する場合もあるけれど、観た映画やドラマの映像による主人公や風景が決まってしまい、なかなか違う人や風景を想像するのが難しい。L1001346-0

自分は写真を撮るときは、いつもこの「読んでから見るか、見てから読むか」を想像する。フィルムで撮るとこの小説を読んだ時のように撮影してから現像しプリントするまでにイマジネーションが膨らみ、最終イメージを鮮烈に脳裏に焼き付ける。そして次の撮影の糧になっていく。液晶に映るのをみて次の瞬間には忘れてしまい繰り返しシャッターを切るデジタルとは大いに異なる。もちろん、デジタルにはたくさんの長所があるが、この最終作品の追い込むイメージと感性を磨くという点はやはりフィルムにはかなわない気がする。

そういう自分も、すでに8割はデジタルだけれど、時々ブラブラとフィルムを持ちだし、そのイマジネーションを楽しみたいと思うのだ。

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